【トレンド現象学】
東日本大震災の発生を受け、民間を中心に約200億円もの義援金を被災地に寄せた台湾。震災発生からまもなく1年を迎えるが、日本からの感謝と台湾からの支援は、今もその輪を広げており、日台の絆に新風を吹き込みつつある。
2月24日、日台スポーツ・文化推進協会で理事を務める鈴木一也さん(32)は台中市の健民国民小学校を訪問。高学年児童ら約100人を前に、福島県で避難している小学生らの実情を伝える映像をもとに特別授業を実施した。
健民小は、1999年の台湾中部大地震で校舎が倒壊した際、日本からの義援金で再建したことから、東日本大震災では「恩返しを」と呼びかけ、児童らが小遣いを出し合い、義援金約190万円を集めた。
一方、「サーフィンが縁で台湾ファンになった」という鈴木さんは、ライフセービング日本選手権で優勝経験も持つスイマー。昨年9月、沖縄県・与那国島から台湾北東部の宜蘭県蘇澳まで100キロ以上を仲間5人と泳断し、被災地の感謝メッセージを届けた。
「でも、それで終わりにはしたくなかった」
今年1月末、勤務先のパナソニックの企画で、福島県の同じ避難先で学ぶ大熊町立大野小学校、熊町小学校の児童ら約60人に、自身の活動経験を講演する機会を得た際、「日台の児童交流につなげたい」と発案。
自費で事前に台中を訪れ、健民小児童らの「一日も早く日常に戻れますように」との激励メッセージをビデオカメラで記録し、福島で紹介した。
その際、福島の児童の感謝メッセージを寄せ書きパネルにまとめ、今度は自身の企画として再び台中を訪れ、贈呈したという。
こうした活動は各方面で続いており、台湾に拠点を持つ日本企業では、岩手県釜石市のラグビー少年団を招き、台湾の少年との親善試合を計画。また台湾南部・高雄市の剣道家らは震災復興祈念世界大会を準備している。
福島第1原発事故の影響で落ち込んだ台湾からの観光客も、1月は延べ12万6千人が日本を訪れ、前年比約30%増と、突出した伸びで回復しつつある。
再び被災地に届けるため、特別授業の模様も映像で記録した鈴木さんは「被災地が身近に感じられた」という台湾の児童らの感想に包まれながら、「歴史的なつながり以上の絆が芽生えつつある」と実感したという。(台北 吉村剛史)
by えび男爵皿だ
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